英語学習法の解説において、現時点で最もまとまっていると思われる本 「最新の第二言語習得研究に基づく究極の英語学習法」を読んだので、その感想などを書きたいと思います。
本のデータ
タイトル | 最新の第二言語習得研究に基づく 究極の英語学習法 |
著者 | 中田 達也 |
出版社 | KADOKAWA |
発売日 | 2023/9/15 |
定価 | 1,650円 (1,500円+税) |
サイズ | 四六判 (12.8 x 2.3 x 18.8 cm) |
ページ数 | 320 |
ISBN | 9784046063496 |
目次
第1章 英語学習の原則
第2章 単語
第3章 定型表現
第4章 文法
第5章 発音
第6章 リーディング
第7章 リスニング
第8章 ライティング
第9章 スピーキング
どんな本か
タイトルの通りですが、第二言語習得研究の成果をもとに、効果的と思われる英語学習法を紹介した本です。 今後の新しい発見により知見が塗り替えられることもあるかも知れませんが、多くのサンプルから得られた知見はかなり役にたつのではないかと思っています。
目次から見る本の構成
英語学習の原則(第1章)
↓
英語の基礎
・ボキャブラリー(第2章、第3章)
・文法(第4章)
・発音(第5章)
↓
4技能(第6章〜第9章)
リーディング
リスニング
ライティング
スピーキング
この本でキーになる用語
第1章に、英語学習の原則が述べられています。
そこで述べられている重要なキーワードは次の通り。 これらのキーワードを軸に本が組み立てられている感じです。
キーワード
- 宣言的知識と手続き的知識
- 言語重視学習と意味重視学習
- 転移適切性処理説
- 流暢性
- 復習間隔
それぞれについて、少し解説します。
宣言的知識と手続き的知識
- 宣言的知識 : 言葉で説明できる知識のこと
- 手続き的知識 : 実際に何かができること
野球のルールを知っているのは宣言的知識で、 野球のプレーをできるのが手続き的知識ってところですかね。
言語重視学習と意味重視学習
- 言語重視学習 : 単語集で単語を覚えたり、文法書で英文法を学習するなど、英語そのものを学習すること
- 意味重視学習 : 文脈から自然に英語を習得すること
どちらも一長一短ありますが、 学習の時間効率で言えば言語重視学習の方が圧倒的に高く、 実際の使用については意味重視学習の方がよいということが書かれています。 これは感覚的に理解できるところでした。
転移適切性処理説
学習の形式とテストの形式が近ければ近いほど、テストでのパフォーマンスがよくなるという現象です。
言い換えると、リスニング力を伸ばす最も効果的な学習はリスニングの練習をすること、スピーキング力を伸ばす最も効果的な学習はスピーキングの練習をすることってことです。
当たり前っちゃ、当たり前の話なんですけどね。
僕は、英語学習って、1つの技能を勉強すれば多くの波及効果があるものだと思っていました。 例えば、スピーキングの力を伸ばせば、リスニングに波及して、英語が聞き取りやすくなるとか。 ただ、この説によると、波及効果はそれほど高くないらしいです。
流暢性
流暢性は、どれくらいのスピードで英語を理解して産出できるかということです。
流暢性を高めることが、英語でのコミュニケーションを上達させるコツだと著者は書いています。
復習間隔
間隔を開けて学習することを分散学習といいます。 これの反対語は集中学習です。 イメージは、一夜漬けが集中学習、コツコツ勉強するのが分散学習って感じでしょうか。
特にこれは皆さん経験あるかと思いますが、分散学習のほうが記憶に残りやすいです。
この本では、分散学習における「最適な復習間隔」について書かれています。 詳細は本書を読んで欲しいのですが、とても役に立つ内容だと思います。
少しだけ、僕が印象に残ったところを紹介すると
- 「最適な復習間隔」よりも復習間隔が短すぎると、リスクが格段に高くなる
- 復習間隔を徐々に広げること(拡散分散学習)は、必ずしも効果的ではない
といったところが印象に残りました。
「最適な復習間隔」そのものについては本書を読んで欲しいところです。
豊富な教材・アプリ・ウェブサイトの紹介
この本では、いろんな教材・アプリ・ウェブサイトが 各章で紹介されており、具体的な使い方も述べられています。 これは独学する人にはとても役に立つんじゃないでしょうか。
多すぎて紹介できませんが、 ウェブサイトについては 私の過去記事でも記載してますので参照して下さい。 この過去記事で紹介されているサイトは、全てこの本に書かれています。
なお、本音を言うと、これらは各章に散らばって記載されているので、巻末あたりに一覧表にして載せて欲しかったなとは思います。
まとめ
「最新の第二言語習得研究に基づく究極の英語学習法」を読んで、その内容について、少しばかりの感想とレビューを書きました。
第2章以降は各論になり、 それぞれの学習方法にどの様な効果があるかが書かれており、学習計画を立てるのに役立つと思います。 ここの内容の解説しちゃうとネタばらしになっちゃうので、是非とも手に取って読んでいただければと思います。
ただ、気を付けて欲しいのは、著者も言っているとおり万能な学習方法はなく、学習計画を立てるのは読者に任せられています(そりゃそうだね)。 学習計画が一番大事で、そして一番作るのが難しいところなため、人に頼って良くないコーチング業者に引っ掛かってお金をたくさん溶かしてしまう人もいるんだろうな、と思ったり……。
ここまで読んで下さりありがとうございました。