先日発売された「科学的根拠で子育て」を読み終わりましたので、 私個人的に気になったところを抽出して、自分なりにまとめて見ました。
本について
タイトル : 科学的根拠で子育て
著者 : 中室牧子
出版社 : ダイヤモンド社
発売日 : 2024年12月10日
この本は、教育経済学の成果を紹介する本で、特に、人生の本番で役に立つ教育とは何かを問う本。
なお、教育経済学は、お金や時間をどういうものにどれだけかけると、意思決定や成果にどのような影響が現れるのかを研究する学問。
本を読んで気になった部分
非認知能力の重要性
- 非認知能力とは、忍耐力、自制心、やり抜く力などの「社会情緒スキル」のこと。認知能力は、学力テストなどの数値化されるデータのこと
- よく「勉強だけできても役に立たない」と言われるが、これは正しくて、非認知能力が低いと人生に大きな影響があることがわかっている。例 : 中年以降、所得に差が出る。良い結婚生活を送る。健康で長寿になる。借金やお酒の依存などを回避。
- 逆に、学力テストは、収入にどれだけ影響しているかについて、17%くらいしか説明できない。
- 非認知能力が高いと認知能力に影響をあたえるが、その逆はない。
どうやったら非認知能力を鍛えられるのか?
- 先生が持つべき、次の4つの指針
- 目標を定めることが重要だと教える
- 達成のための努力の重要性を伝える
- 失敗しても、そこから建設的に考えることを教える
- 人間の能力は生まれつきでなく、努力で変わると信じることを教える
- 好奇心、思いやりを育てるような教育も大事
- 親子が一緒に過ごす時間が長いほうが、非認知能力が高くなりがち
- 幼い頃に非認知能力を鍛えると、大人になったときに差が出てくる。特に中年以降。福利の様な効果がある
- 幼稚園の先生の教育の質が高いことが、子どもに大きな影響をあたえる。但し、親にその質を見抜くのは難しい
- なお、4月生まれは非認知能力の獲得に有利。早生まれは不利。
学力を伸ばすために
- 目標を定める場合、行動に落としこんで、達成させるのがよい。例 : 本を1日10ページ読むようにする。NGなこと : 次のテストで90点を取るとかの目標は行動に落とし込まれていないので、そんなに成果がでない。
- 行動を習慣化すること。取りかかるレベルを下げて、繰り返すこと
- お金は、取りかかるレベルを下げる効果のある外的インセンティブ。しかし、今まで習慣的に行っていた人に対しては逆効果。いままでやっていない人には効果がある。
学校の話
- 学校の学力上位は、上位の人達と集まる傾向にある。下位の人は下位の人同士で集まりやすい。振る舞いがその集団で伝搬しやすい。その集団が暴力的なら、暴力的になったりする。
- 「鶏口となるも牛後となるなかれ」は正しい
- 小学校の順位が、今後の人生に大きな影響を与えているという事実がある。
- 男女別学(男子校、女子校のこと)は、学力が伸びる。しかし、異性の目がないので肥満になりやすいとか、世の中のステレオタイプの仕事(例 : 男性は力仕事、女性は母性を生かした仕事など)に就きやすいなどもある。
日本の教育とエビデンスについて
- 日本の教育についての提言あり。もっとデータを活用して、効果のある教育をしてほしい。
- 今のエビデンスが、100%正しいわけではない。論文は西洋の人達を対象にしている物が多い。地域・文化によって結果は変わるかもしれない。
最後に
会社の同僚が子どもの教育に悩んでいた時に、 Pivotで中室牧子さんが語っている動画を見たのが、この本を購入したきっかけ。
https://pivotmedia.co.jp/movie/12298
https://pivotmedia.co.jp/movie/12316
なんかとても僕に響く内容でした。
ここまで読んで下さりありがとうございました。